萩市の”イチゴ王子”榎谷絋司さん〜イメージを変える”農エンターティナー”〜

あなたは農業はどんなイメージがありますか?実際の調査では100人中74人が仕事して農業をやりたくないという結果があります。その理由に「稼げない」「休みがない」など不安定さからあまり良いイメージがありません。そういう「農業に対するイメージを変えたい!」と言われている榎谷絋司さんが今回の主人公です。



その一般的にある農業に対するイメージを一新するように榎谷さんは苺の被り物をして営業をされたりもしています。はじめてお会いしたときも苺の被り物をされていて驚きと興味を抱いたことを記憶しています。当然ながら外見のいインパクトに見合う中身もしっかりとしています。苺の栽培で使用される肥料は「美味しくなるためには苺や野菜が元気であること」ということから自然由来の土壌改良材を使用して除草剤などは使わず手間をかけることで美味しい苺を栽培しています。そして、萩市の自然条件も苺の糖度を上げるお手伝いをしています。それというのも萩市沿岸部を対馬暖流が通るために最低気温の平均は高くなります。しかし、平均の日照時間は短いという気象条件があります。そのため、一般的な栽培時間よりもじっくりと長い時間をかけて生育することができます。そうすることで栄養や糖度が”ギュッ”と濃縮した苺が出来上がります。


苺の他に野菜ももたくさん作られています。それも見慣れていない名前や色をした珍しい野菜も栽培されています。例えば、見た目が黒いじゃがいもである「シャドークイーン」や見た目が黒い「黒大根」。サラダかぶの「もものすけ」なども栽培されています。美味しいのは当たり前でそれに加えて消費者に見た目や形から選ぶ楽しさも増えれば普段の食事も調理から楽しくなるという想いがあります。



お客様に美味しさと楽しさを提供する発想はそ農家に生まれながらも反抗期から農家を継ぐことは考えていなかったと冗談交じりに言われます。進路を農業とは真反対の水産科に進学して着いた仕事も車海老の養殖や営業でした。その時に、周囲からは農業のイメージに「農家は野菜をただ作っていて人付き合いをほとんどしない」があることに気づきました。また、人付き合いを得意とすることから周囲からは「農家を継ぐことを辞めた方がいい」とまで言われることがありました。しかし、そう言われるほどに「本当に農家は人付き合いをしないのか?」と疑問に感じるようになり「もしそうであったとしてもそれごとひっくり返してやろう!」と強く思うようになりました。そこで、考えたのが「しない」のではなく「する」ことが少ないのではないかと思って、対面販売ができる仕組みを考えて実践してみよう!と一念発起して農家になることを決意しました。


その取り組みの1つが生産者と消費者が直接繋がれるイベントを自主企画です。親子を対象にじゃがいも掘り体験を開催した時は冬の寒い時期にも関わらず約30人が参加する大変な賑わいのあるイベントでした。このイベントに使用されたジャガイモの品種はシャドークイーン・アンデスレッド・キタアカリの3種類です。一般的にはまだ馴染みの少ない珍しい品種のじゃがいもを収穫・試食できたとても楽しいイベントでした。(ちなみに私はキタアカリが一番好きな味だった)



榎谷さんの農業に対する想いは着実に成果に繋がっています。昭和30年頃に始めた苺の栽培もビニールハウスは4倍の12棟に増設され年間約7tの収穫量になています。また、これからにもついても従来のやり方では地方はますます先細りになる可能性があるため「誰かがやらないと変わらない」ため「まずは自分が前例となり挑戦をおこない、それが結果として地域全体の底上げになればと嬉しい」と視線を未来に向けながら言われます。次に榎谷農園からどんな野菜が届けられどんなイベントを仕掛けて来るのか非常に楽しみです。